トルコ人と名前![]()
名前には気をつけよう。
Kanal D(カナル・デー)というテレビ局で、木曜日の夜に「ポプラの風」という、たいしておもしろくはないけれど、普通の日本人も割と違和感なく見られそうなドラマをやっています。いろいろ訳あって、なんとな~く見ています。
そのドラマで、主人公のエフェという男の子が夜、海辺で仲良くなった野良犬相手に話をしていて、犬に名前をつけようと思いつき、「アリ・・・、メフメット・・・、ヒュセイン、そうだ、ヒュセインにしよう。いい名前だ。」と言い、犬の名前はヒュセインに決まりました。
・・・という、なんてことない場面なのですが、実はこの場面が大問題を引き起こし、大変な騒ぎに発展してしまったのです。
なんでも、犬に「ヒュセイン(フセイン)」という名前をつけてしまった、というのがいけなかったらしい。
「アリ」という名前が台詞に出てきてしまったのも彼ら的にはいただけないのでしょうが、特に問題にはなっていませんでした。
「犬にイスラムの神聖な名前をつけるなんて、無礼だ! 許せ~ん!」ということで、500人もの人がKanal Dに押しかけて、「ドラマの放映をやめろ~!!!」と抗議したのだとか。おまけにトルコのテレビやラジオ放送を管理するラジオ・テレビ高等評議会にも訴えたらしい。
抗議したのはCaferiさんという、シーア派の一派だそうですが、
「ヒュセインは我らが心!」
「人の名前を犬につけるなんて何事だ!」
「侮辱だ!」
「アッラーは偉大だ!」
「国民の前で謝罪しろ!」
とものすごい怒りっぷりでした。Kanal D側は、抗議があった翌日に即謝罪。ドラマの製作者もニュースで「イスラムを冒涜するつもりは全くなく、このようなことになり大変遺憾」とコメントしていました。
何かの抗議があったとき、トルコでは抗議された側がてこでも謝罪しないところがありますが、今回は非常に早いというか、謝罪までしちゃってビックリでした。
宗教の問題は想像以上に非常にデリケートな問題なのですね。でも、これは、ドラマを制作するときに誰も疑問に感じなかったと思われるので、皆が皆そう思っているのではないんじゃないかと思います。
ぷなるじゃんなんかはムスリムさんじゃないので、かわいくて大切な犬に「ヒュセイン」とつけて何がいけないなんて思っちゃいますが、なんか怒られちゃいそうですね。
トルコ人の名前はかわいいものが多いので、犬などの名前につけたいなぁと思っていたこともあるのですが、どれが良くてどれが悪いのかわからないので、怖くてつけられないです(笑)
基本的に人名はペットの名前につけないのでしょうかねぇ。考えたこともなかったので、全くわからないです。猫は「ミノシュ」(日本的に言えば「チビ」かな)という名前をつける人が多いみたいだけど。
そして、問題の犬は今後もドラマにちょこちょこ出てきそうなのですが、どんな名前になっているのでしょうか。気になるところです。降板になっていたりして?!(笑)
どこか淋しげで哀愁が漂っていてなかなかの名演技をしてくれるので、やめないでほしいものです。犬に罪はないですから。全然関係ないのですが、先日も喧嘩のシーンの撮影中にセットが壊れて男優さんが二人落っこちて怪我してしまったそうなのです。幸いすぐに復帰できたそうですが、このドラマ、ストーリーよりも舞台裏のほうが波乱万丈かも(笑)
ところで、トルコでは、人間にもつけちゃいけない名前があります。禁止されているというよりはタブーというか、畏れ多くてつけるのは憚られるという名前です。
たとえば、「アッラー」。
トルクメン人は男性の名前に「アッラー」が使われます。といってもさすがに単独で使うことはなくて、Allageldi(アッラーが来た)とかAllaberdi(アッラーが与えた)という風に、セカンドネームと組み合わせます。トルコではTanrıberdi(神が与えた)というのはあるけど、Allah(アッラー)を使った名前というのはないのではないでしょうか。ぷなるじゃんは見かけたことがないので、もし見かけたことがある方はぜひ教えてください。
Pygamberはプガムベルと呼んで、トルクメン語で「預言者」という意味ですが、男性の名前として使われています。これも単独で使うのではなくて、セカンドネームと組み合わせるようですが、トルコでは人名には使わないのではないでしょうか。
というのも、預言者のお名前は、トルコでは「ムハンメッド(ムハンメット)」と呼ばれているのですが、この名前を人名に用いるのを避ける人たちが多いからです。
「ムハンメッド(ムハンメット)」という名前を避ける理由は「畏れ多すぎるから」です。
でも、あやかりたいことはあやかりたいので、Muhammed(ムハンメッド)の最初のMと真ん中のMと最後のD(T)を取って、「メフメット」とか「マフムット」とかという名前をつけるのだ、という話をあるトルコ人から聞いたことがあります。
たまに我が子に「ムハンメッド(ムハンメット)」くんと名づけてしまう親御さんがいます。
なので、絶対にタブーってわけじゃなくて、人によって考え方がさまざまなのでしょう。でも、ムハンメッドくんが生まれちゃうと、今度は周りが困ってしまいます。というのも、あまりに畏れ多すぎて「ムハンメッドくん」と呼べないからなのだとか。そんなに周りが困る名前ならつけなきゃいいのにって思うけど、名づけた親御さんは良いと思ってつけるのだろうから、「畏れ多くて呼べない」という感覚がわからないかも。
名づけた親御さんに聞いたことはないので真相は定かではないですが、ぷなるじゃんは同じ名前にしたいという親御さんの気持ちはなんとなくわかります。
トルコでは、おじいさんやおばあさんなど親戚の名前を引き継ぐ形で自分の子につける人が多いので、一概に同じ名前にしたかったからとも断言できないのですが。この手の話はまた今度。
「畏れ多くて呼べない」という周りの人たちはどうするかというと、Muhammedの最初のMと真ん中のMと最後のD(T)を取って作られた他の人名で呼ぶのだとか。「メフメットくん」とか「マフムットくん」とかという具合にです。
当の本人のムハンメッドくんも「畏れ多くて呼べないんだな」というのを察しているので、違う名前で呼ばれても、嫌がらずに返事をしてくれるそうです。
いやはや、名前って難しいですね。
ぷなるじゃん
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(2007年8月19日)
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